近い将来、遺言のパソコン作成が可能になりそうです。
現在の遺言の主な作成方法は、①本人が全文を手書きで作成して押印する「自筆証書遺言」と、②公証役場で公証人に作成してもらう「公正証書遺言」の2つです。
このうち自筆証書遺言は、手書きで一人で作成できるメリットがあるものの、長文の場合には手書きするのが大変で、紛失や偽造のリスクもありました。
そこで、パソコンなどのデジタル機器で作成して、法務局でデータを保管する「保管証書遺言」が新たに導入されることになりそうです。
保管証書遺言は、パソコンなどで作成した遺言のデータを、法務局にオンラインや郵送で保管申請します。
そして、法務局の担当者がウェブ会議や対面で本人確認を行い、遺言者が全文を読み上げて、真意に基づく内容であることを確認します。
パソコンで作成できて、かつ公証役場まで赴く必要もないので、遺言を作成するときの新たな選択肢になりそうです。
ただ。
この保管証書遺言では、法務局は遺言の内容まではチェックしない見込みです。
そのため、結局のところ、せっかく遺言を作成したのに意図した内容になっていなかったり、法的に効力がない内容になっているリスクは伴います。
このようなリスクを減らすには、やはり公正証書遺言が最も安心です。
他方で、保管証書遺言は、法務局の本人確認を受けなければならないという点では、自筆証書遺言よりも心理的ハードルは高そうです。
つまり、保管証書遺言は「帯に短したすきに長し」で、中途半端な印象を受けます。
そのため、保管証書遺言の利用はそこまで広がらないのではないか?と予想します。
少なくとも、弁護士として最もお勧めするのは、今後も変わらず「公正証書遺言」ということになりそうです。