認知症患者の預金引出しは、本人の意思確認ができなければ親族でも行えません。
しかし、今後は医療費や施設入居費に充てるなど「本人の利益に適合することが明らかな場合」に限り、代理権がない親族でも引出しが認められることがあるようです。
全国銀行協会の見解です。
「極めて限定的な対応」だそうですが。
「医療費や施設入居費を支払うために本人のお金を使いたい」という動機は、成年後見を使うきっかけとしてよく目にします。
今回の扱いの変更で、まとまった金額の手術費や施設入居費に限らず、毎月発生する入院費や施設利用料まで親族が引き出せるようになるのかは分かりません。
しかし、少なくともわざわざ成年後見を利用する理由が1つ減るのは確かでしょう。
成年後見は杓子定規な面もありますし、赤の他人の専門職が家族の中に関わってくることに抵抗感を持つ方が多いのもよく分かります。
そのため、成年後見を使わなくても本人のお金から医療費や施設入居費を支払えるようになる今回の話は、好ましいようにも思えます。
確かに、高齢の家族の医療費・施設入居費の支払に困っていた多くの方にとって、今回の扱い変更は喜ばしいことです。
しかし、高齢者の問題に関わっていると、親族が本人のお金を使い込んでいる経済的虐待事案に接することが残念ながらしばしばあります。
今後、医療費や施設入居費のための預金引出しを親族が行えるようになったとしても、引き出された預金が確実に本人の医療費や施設入居費に充てられるとは限りません。
成年後見を利用しなくても預金引出しを行えることが悪用されて、お金を使い込まれるケースは必ず出てくるはずです。
そのときは、その親族に代理権がないことを知りながら預金引出しに応じてしまった金融機関の責任も問われかねないように思うのですが。
まぁ金融機関はリスクよりもニーズに応えることを選択したということなのでしょう。