破産手続の最後に待っているのが、免責審尋(管財事件なら債権者集会)です。
破産者が裁判所に行き、裁判官から破産に至った経緯や反省点、今後の生活などについて質問されます。
東京では大量の破産者が同じ時間に法廷に集められ、ろくに質問もされないまままさにベルトコンベアー式に免責審尋が「処理」されていました。
他の地方では、そもそも原則として免責審尋を実施しない運用の裁判所もあるようです。
しかし、しっかりと個別面接形式の免責審尋を行う裁判所も、もちろんあります。
全国の事情は把握していませんが、きっと個別面接形式が多数派「だった」のだろうと思っています。
3年を過ごした旭川地裁管内でも結構しっかりとした面接が行われていたため、初めは東京地裁との差に驚いたものでした。
ところが、ここでもコロナが運用を変えてしまったようです。
京都地裁では、現在は原則として免責審尋は行われず、債権者集会への破産者の出席も特別の事情がない限り求められない運用になっているようです。
免責不許可事由があるときや債権者から免責不許可意見が出ているときなどは免責審尋を実施するのかもしれません。
しかし、基本的には破産者自身が裁判所に行くことはなくなっています。
破産者代理人としては裁判所に行く手間はかからないわけですが。
個人的には、これでいいのだろうかと思わなくもありません。
免責審尋は、たとえ形式的なものにすぎなかったとしても、破産者が状況を自分の目で認識する場でもありました。
個別面接形式の免責審尋に先立っては、事前に模擬質疑を行って、自分なりの回答を当日までに考えてもらったりもしていました。
この機会がなくなれば、破産の原因と向き合う機会もなくなり、「弁護士に任せていたらよく分からないうちに破産できていた」という人も多くなるのではないでしょうか。
やむを得ない理由があって破産する方もおられますが、破産は債権者の犠牲の上に成り立っている制度です。
制度として免責審尋は実施すべきではないか、と思うところです。