京都弁護士のおいでやす日記
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【離婚と家庭のお話】

法定養育費制度が始まる

2025年11月16日  【離婚と家庭のお話】 

1.法定養育費とは

令和8年5月までに、法定養育費の制度が施行されます。

これまでは離婚時・離婚後に養育費の取り決めをしなければ、監護親(子どもを育てている親)から他方の親に対して子どもの養育費を請求することはできませんでした。

しかし、今後は養育費の取り決めをしなくても、定額の養育費を必ず請求できるようになります。

    2.法定養育費の金額

    そして、その金額は子ども1人当たり月2万円とされる方向で検討されているようです(法務省の省令案)。

    この月2万円という金額に対しては、少なすぎるという世間の反応も目につきます。

    しかし、法定養育費は、養育費の取り決めがされていない時のためのあくまで暫定的なものです。

    1人当たり月2万円よりも増額すべきケースでは、これまでどおり協議や調停によって養育費を取り決めればよいのです。

    話合いでは合意できなくても、調停を利用すれば最終的には審判によって必ず適正な養育費が定められます。

    法定養育費はあくまでも養育費を取り決めていない場合の救済策にすぎず、どんな場合も養育費が月2万円に固定されたわけでは全くありませんので、誤解しないよう注意が必要です。

      3.法定養育費の終了時期

      法定養育費は、父母の話合いや家庭裁判所の審判によって養育費が取り決められた時や、子どもが18歳に達した時まで発生します。

      ここで注意が必要なのが、子どもの18歳が法定養育費の終了時期とされていることです。

      実務上、養育費の支払終期は子どもが20歳に達した時と定めることが多いのですが、法定養育費の支払終期は18歳です。

      つまり、18歳を超えて養育費を支払ってほしい時には、やはり協議や調停、審判によって取り決めを行う必要があります。

      4.法定養育費を請求できる期間と遡及

      法定養育費は、離婚の日に遡って発生します。

        つまり、例えば離婚から2年後に請求したときは、2年分の法定養育費をまとめて請求することが可能です。

        5.養育費への一般先取特権の付与

        法定養育費の導入と並んでインパクトが大きいのが、養育費への一般先取特権の付与です。

        これによって、従来は調停や公正証書で養育費を取り決めなければ差押えを行えなかったのが、そういった債務名義がなくてもいきなり差押えを行えるようになりました。

        養育費を請求する側からすると非常に強い権利であり、法定養育費の導入とあいまって、養育費がかなり確保しやすくなる見込みです。

        それに対し、請求される側からすると、たとえ養育費を取り決めていなくてもいきなり高額の差押えを受ける可能性があることになります(例えば子ども3人の5年分の法定養育費なら計360万円)。

        ①支払能力を欠くために法定養育費を支払えないときや②法定養育費の支払によって生活が著しく窮迫するときには、家庭裁判所は全部又は一部の免除や支払の猶予を命ずることができるとされているものの、どういったケースで対象となるのかは未知数です。

        今後は養育費の不払いが大きなリスクになることは間違いなく、たとえ養育費を取り決めていなくても法定養育費は必ず支払わなければならないものだという周知徹底が必要になるでしょう。

        離婚調停のウェブ会議

        2025年4月23日  【離婚と家庭のお話】 

        離婚、遺産分割などの家事調停でも、期日にウェブ会議で出席できるようになりました。

        当事務所でも多くの案件でウェブ会議を利用していますが、やはり便利です。

        とにもかくにも、弁護士にとっては事務所から移動する必要がありません。

        移動時間をガッツリと削減できて、その時間を仕事に充てられるようになりました。

        ご依頼者にとっても、家庭裁判所よりも当事務所の方がアクセスしやすい場合には、移動時間や労力を節約できます(逆に家庭裁判所の方がアクセスしやすいご依頼者の場合はウェブ会議は使わないようにしています)。

        また、家庭裁判所に足を運ぶ場合、顔を合わせることはないとしても近くに相手当事者もいる環境でした。

        それと比べると、ご依頼者にとってウェブ会議の方がリラックスしやすいという面もあるように思います。

        他方で、ウェブ会議ではどうしても音声が不鮮明で、聞き返さなければならないこともあるというデメリットもあります。

        しかし、それを踏まえてもウェブ会議のメリットは大きいです。

        あとは、家庭裁判所のウェブ会議用の機器がまだ多くないようで、機器が足らないためにウェブ会議を利用できないという何とも残念なケースもありました。

        そのあたりは早く解消させてほしいところです。

        ちなみに、令和7年3月1日からは、これまでは家庭裁判所に行かなければならなかった離婚成立時すら、ウェブ会議で出席できるようになりました。

        「離婚成立時だけは電話会議は不可で現地まで行かないといけません。でも調停に代わる審判という抜け道もあるので安心してください。ただしその場合は確定まで多少時間がかかり・・・」

        といったこれまでのお決まりの説明も変わるわけです。

        あまり話題になっていませんが、画期的な法改正だと思います。

        熟年離婚が増えている?

        2024年9月1日  【離婚と家庭のお話】 

        熟年離婚の割合が過去最高になったとのニュースを目にしました。

        2022年に離婚した夫婦のうち、同居期間20年以上の熟年離婚の割合が23.5%だったそうで、この割合が過去最高だったようです。

        注意しなければならないのは、人口減などの影響によって、全体の離婚件数自体が減少傾向にあることです。

        全体の離婚件数が減っている一方で、熟年離婚の件数は大きく変わっていないようなので、全体の中で熟年離婚が占める割合が増えていくのも当然でしょう。

        このように、熟年夫婦の中で離婚する夫婦が増えているという話ではないため、誤解しないよう注意が必要です。

        とはいえ、全体の離婚件数の中で熟年離婚の「割合」が相応に高いということは、当事務所でも肌で感じているところです。

        親権や養育費、面会交流が主な争点になる子育て世代夫婦に比べて、熟年離婚ではとにかく財産分与が議論の中心となります。

        最近では様々な方法で資産形成を試みている方も多いため、財産分与の計算も複雑になりがちです。

        財産分与で気になることがあれば、お早めに弁護士にご相談されることをお勧めします。

        本籍地外で離婚届を提出するときも戸籍謄本は不要に

        2024年3月22日  【離婚と家庭のお話】 

        戸籍法の改正によって、令和6年3月1日から本籍地外の役所でも戸籍謄本を取得できるようになりました。

        それにあわせて、本籍地外で離婚届を提出するときも、戸籍謄本の提出が不要になりました。

        これまでも離婚届は本籍地に限らず、全国どの役所に提出しても受理してもらえました。

        もっとも、本籍地外で提出するときには戸籍謄本も提出しなければならなかったのです。

        そのため、本籍地が遠方にある方は戸籍謄本を取り寄せる必要があり、調停離婚など離婚届の提出期限(10日間)があるときには、スケジュールを逆算してあらかじめ戸籍謄本を取り寄せておくこともありました。

        しかし、これからは本籍地外で離婚届を提出するときに戸籍謄本の提出は不要になります。

        地味な変更点ですが、省ける手間は結構大きいです。

        ちなみに、本籍地外で離婚届を提出した場合、戸籍に離婚の事実が反映されるまで日数がかかります(感覚的には2週間以上)。

        このようなタイムラグが生じることは、現在確認できる情報によれば、どうも今後も変わらないようです。

        離婚は実は減っている

        2024年1月28日  【離婚と家庭のお話】 

        「日本は離婚が当たり前の世の中になった」といった話を聞くことがあります。

        そう聞くと離婚件数が年々増えているように感じます。

        しかし、実は統計上は、全く真逆です。

        離婚件数のピークは平成14年で約29万件でした。

        しかし、その後は年々減少し、令和4年は約18万件にまで減っています。

        結婚件数や人口構造も変わっているため、一概に「社会で離婚が減った」と言い切れるわけではありません。

        もっとも、離婚件数が年々減っているというのは、おそらく多くの方にとってイメージと全く真逆なのではないでしょうか。

        ちなみに、離婚調停の件数も年々減少傾向にあるようです。

        離婚調停の待合室問題

        2022年1月13日  【離婚と家庭のお話】 

        離婚調停などでは、交互にそれぞれの当事者が調停室に入って話を聞かれます。

        そのため、調停の半分は待ち時間です(体感的にとても長く感じる)。

        待っている間は家庭裁判所の待合室で待つことになります。

        その待合室ですが、もちろん相手方とは顔を合わせることがないよう別々の待合室を指定されます。

        それは当然なのですが、京都家庭裁判所では他の調停利用者・弁護士が同じ待合室を使用していることがよくあります。


        狭い待合室内に数組の調停利用者・弁護士がいるのでかなり密…

        というところではなく、赤の他人と待合室を共用することに抵抗をかなり感じます。

        待ち時間の間は瞑想しているわけではなく、私は調停室でのやり取りをかみ砕いてご本人に説明したり、今後の方針を相談したり、聞いておきたいことを聞き取ったりしています。

        当然、非常にプライベートな話や他人に聞かれたくない話ばかりです。

        そんな話を赤の他人が隣にいる待合室でできるわけがありませんよね。


        ときどき、個室が割り当てられて調停委員がその個室に入ってきて話をするというパターンも見られます。

        全件そのように扱うには部屋が足らないのだと思いますが、空き部屋があるのであればフル活用してプライバシーに配慮してほしいなと思います。

        離婚協議書を公正証書にすべきか

        2021年12月11日  【離婚と家庭のお話】 

        離婚協議書の作成だけのご依頼を受けることは結構多いです。

        相手との交渉は一切行わず、あくまでも離婚協議書を作成するだけです。

        しかし、離婚に当たり法的に間違いのない離婚協議書を作っておくことはとても大切です。

        費用はいくらか頂きますが、将来のリスクを除けることを考えるとお値打ち価格だと思います。


        ちなみに、離婚協議書を公正証書で作成すべきかというご質問もよく受けます。

        公正証書を作るメリットは、約束どおりに金銭の支払がされないときに、裁判などをせずに直ちに相手の資産を差し押さえられることにあります。

        そのため、養育費を支払ってもらう場合や、財産分与や慰謝料の支払期限が先になる場合や分割払いの場合などは、公正証書を作っておくのが望ましいです。

        また、合意分割の方法によって年金分割を行う場合には、公正証書の作成が必須です(調停・審判を利用する方法もあり)。


        このような公正証書ですが、作成に当たっては公証役場と文案の調整を行う必要があります。

        いろいろな内容を盛り込みたいときには、公証役場とのやり取りをご自身で行うのも簡単ではありません。

        当事務所では、離婚協議書作成に加えて公正証書作成のサポートも行っています。

        ご興味がある方はお問い合わせください。

        離婚届証人代行サービス

        2021年12月4日  【離婚と家庭のお話】 

        離婚届には2名の証人の署名が必要です。

        もっとも、証人になったからと言って何か法的義務を負うわけではありません。

        誰でも証人になれるので、極端な話、通りがかりの人に証人になってもらっても問題はありません。


        「離婚届証人代行サービス」なるものも存在するようで、インターネットで検索すればいろいろ出てきます。

        証人1名で3000円、証人2名で4000円くらいの料金が多いようです。

        署名捺印だけでこの料金を取るのか、と初めは思いました。

        しかし、証人は署名捺印だけでなく住所、本籍地、生年月日まで記載する必要があります。

        3000円と引き換えに赤の他人にこれらの情報をオープンできるかというと、私はとても無理でした。

        サービスのある所に利用者あり。

        身近に頼める相手がおらず、こういうサービスを利用する方も相応におられるのでしょう。


        いやいや、ちょっと待とう。

        当事者と一度も会うこともなく証人になった人が、いったい何を保証できるのでしょうか。

        証人欄に名前を埋めさえすればいいのであれば、証人欄なんて無くしてしまっていいのではないでしょうか。

        相場では足りない

        2021年2月15日  【離婚と家庭のお話】 

        私の愛読書『家庭の法と裁判』2021年2月号が届きました。

        表紙の絵が何者か一瞬認識できませんでしたが恵方巻ですか。

        というか毎号こんなところに挿絵なんかあったっけ。。

        調べればすぐに分かりますが、謎は謎のままにしておくのもアリなので放っておくことに今決めました。


        今回はこの判例を一つまみ。

        妻である申立人が、別居中の夫である相手方に婚姻費用の分担を求めた事例において、いわゆる標準算定方式によって算定される婚姻費用の額に加えて、申立人が別居に伴い新たに賃借した住居費の一部の分担が命じられた事例

        東京家審平成31年1月11日

        別居中の夫婦間における生活費(婚姻費用)については、養育費と同じく家庭裁判所の算定表が公開されています。

        これに双方の収入を当てはめればだいたいの相場額が分かります。

        それなりに複雑な計算式を使えば、より具体的な婚姻費用額も算定可能です(標準算定方式)。

        弁護士が関わる事案でも、たいていは算定表によって婚姻費用額を定めるところです。


        しかし、この裁判例では、算定された婚姻費用額に加えて、妻側が別居に伴い新たに負担することになった賃料の一部についても夫に負担するよう命じられました。

        事案を見ると、不貞行為が発覚した夫が家を出た上に、これまで住んでいた社宅から退去するよう妻に求めたため、妻はやむなく近隣住居を新たに賃借したという事情があったようです。

        このような経緯も踏まえ、裁判所は「費用の公平な分担」を理由に妻の賃料の一部(婚姻費用に元から含まれている住居費を除いた金額)を夫に負担させるべきと判断しました。


        有責配偶者が常に、婚姻費用とは別に相手方の賃料を負担しなければならないと判断されたわけではありません。

        婚姻費用には住居費も含まれているため、基本的には婚姻費用の中で住居費もやりくりする必要があります。

        ただ、専ら一方当事者の行為のみによって余計な住居費等が発生したケースでは、婚姻費用の相場額にとどまらず、それらの住居費等も追加で負担するよう求める余地がありそうです。

        「相場」にとらわれすぎないよう意識するのが大切ということですね。

        落とし穴の話

        2021年1月5日  【税務・税金のお話】, 【離婚と家庭のお話】 

        『実務家が陥りやすい離婚事件の落とし穴』(東京弁護士会家族法部)を読了しました。

        同じシリーズの『実務家が陥りやすい相続・遺言の落とし穴』と比べると、比較的浅めの落とし穴が多かったように思います。

        しかし、雪解け後の北海道の道路のように、踏めばタイヤがバーストするくらいの穴も結構ありました。


        北海道の道路では、冬の初めに積もった雪が一旦解け、アスファルトに水が浸透します。

        その状態で水が凍ると水分が膨張するため、周りのアスファルトが圧縮されます。

        そして、そのまま春になって氷が解け水分が蒸発すると、アスファルト内に空洞だけが残り、そこに車の重みなどが加わると簡単に崩壊して道が穴だらけになってしまうのです。

        実物を見ないとなかなかイメージしづらいのですが、大モグラが耕したのかというくらい、雪解け後は本当に道が大穴だらけになっています。

        (3年前の雪解け期に留萌に赴任した時、ボロボロの道を見て「ここまでこの市の財政は厳しいのか…」と思った、という笑えない話は伏せておきます。)


        穴の話になってしまいました。

        復習のため、今回の『(略)落とし穴』で意識しておきたい知識を1つ。

        離婚時に財産分与によって不動産が譲渡されることがあります。

        この際、原則として贈与税は課されないのですが、例外的にその不動産の価値が清算的財産分与としては過大であったときは、過大である部分について贈与税・不動産取得税が課されることがあります。

        この点も、分かっていても見落としがちな落とし穴です。


        しかし、それだけでなく不動産の価格が取得時よりも増加していたときには、譲渡側に対して譲渡所得税が課されることがあります(財産分与として過大か否かにかかわらず)。

        この点に関しては、居住用財産の3000万円の特別控除を利用できることがあるほか、居住用財産の所有期間がその年の1月1日時点で5年を超えていれば長期譲渡所得税の適用を、10年を超えていればさらに税率が低い10年超所有軽減税率の適用を受けられることがあります。

        離婚する時に「自宅に住み始めてから何年経ったか」を考えることはなかなかありませんが、譲渡所得税が課税される場面では5年・10年という区切りを意識しなければならないというわけです。

        ちなみに、協議離婚を行ったが後に想定外の譲渡所得税が課税されたケースで、財産分与の意思表示について錯誤無効が認められた裁判例(東京高判平成3年3月14日判時1387・6)もあるそうですが、あまり気休めにはなりません。

        穴を見落としても大モグラのせいにはできませんので、税務にはつくづく気を付けようと思う次第です。

        自己紹介

        • 弁護士・税理士 河本晃輔
        • 京都弁護士会所属
        • 洛彩総合法律事務所(京都市右京区西院平町7クラエンタービル2階)
        • 京都で生まれ育つ。14年にわたる東京・北海道暮らしを経て京都に復帰。現在京都人のリハビリ中。
        • 趣味:旅行、アジア料理、パクチー、サイクリング、野球観戦、旅館探しなど
        2026年1月
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