京都弁護士のおいでやす日記
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2021年05月1日

弁護士費用保険ってどうなの

2021年5月1日  【弁護士のお仕事】 

弁護士費用保険って、正直どうなんでしょう。

自動車保険の弁護士費用特約ではなく、弁護士費用保険のことです。

自動車保険の弁護士費用特約は費用対効果が抜群ですし、もはや車に乗るなら必須です。

それに対し、弁護士費用保険とは法律問題全般に巻き込まれたときの弁護士費用をカバーするための保険です。

とある保険会社によると、カバーすることを想定しているのは偶発事故、近隣トラブル、労働トラブル 、相続トラブル、離婚トラブル、賃貸・不動産トラブル、いじめ・ハラスメント、インターネットのトラブル、リスク取引などだそうです。

保険料はだいたい月額3000円前後とのこと。

最近はこの弁護士費用保険の広告を目にすることが増えてきたように思いますが。。


正直私は、現時点では弁護士費用保険の利用は全くお勧めできません。

弁護士費用保険というからには、弁護士費用が全額カバーされると思うでしょう。

ところが全くそんなことはないのです。

とあるご依頼者が弁護士費用保険を利用されたところ、なんと着手金の一部しか保険金が支払われませんでした。

「着手金+報酬金」の一部ではありません。

「着手金のみ」の一部です。


解決時にご負担いただく報酬金と比べると、契約時点で頂く着手金は低額です。

その着手金の一部だけしか支払われなかったのです。

しかも、実費すら保険からは支払われず、酷すぎてもはや失笑するしかありませんでした。

これでは何のための保険なのか分からず、唖然とするご依頼者がただただお気の毒でした(ご依頼が終了すればすぐに解約するよう伝えたのは言うまでもありません。)。


保険会社によっては偶発事故については弁護士費用全額が支払われることもあるようです(ただし金額は保険会社基準)。

しかし、交通事故に遭った場合は、家族が加入している自動車保険の弁護士費用特約をかなり幅広く利用できます。

交通事故以外の偶発事故となると遭遇率はかなり低く、それに遭遇したときの弁護士費用のために弁護士費用保険に加入しておく、というのは合理的とは思えません。

保険会社によっては偶発事故以外でもカバーする範囲が多少広かったりするようですが、その代わりに支払上限額が低かったり、保険を利用できない不担保期間が長かったりするようで、費用対効果には見合いません。

扱っているのは少額短期保険会社ばかりで、対応もお察しです。


そんなわけで、弁護士費用保険の実態に接してしまった身としては、弁護士費用保険はお勧めできないのです。

加入を迷っておられる方は、どうぞ保険には加入せず、問題が起きた時に弁護士にご相談ください。

念のためですが、以上は自動車保険の弁護士費用特約の話ではありません。弁護士費用特約には絶対に加入してください!

自己紹介

  • 弁護士・税理士 河本晃輔
  • 京都弁護士会所属
  • 洛彩総合法律事務所(京都市右京区西院平町7クラエンタービル2階)
  • 京都で生まれ育つ。14年にわたる東京・北海道暮らしを経て京都に復帰。現在京都人のリハビリ中。
  • 趣味:旅行、アジア料理、パクチー、サイクリング、野球観戦、旅館探しなど
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