改正民事訴訟法では、公示送達の方法もオンライン化される予定です。
被告の所在が不明なケースでは、訴状が送達できず訴訟が始まらない事態を防止するため、「公示送達」の方法によって訴状が送達されたものと擬制されます。
従来、この公示送達は、(誰も見ていない)裁判所の掲示板に紙を貼り出す方法によって行われてきました。
それに対し、改正民事訴訟法では、裁判所ウェブサイトへの掲載(!)をしつつ、掲示板への掲示又は裁判所端末での掲示によって公示送達を行うことが想定されているようです(改正法111条柱書)。
裁判所ウェブサイトへの掲載というのは驚きました。
公示送達とは不特定多数人が閲覧できる状態に置く送達方法なので、理論上はウェブサイトに掲載してもおかしくはないのですが…。
誰が、誰に対して(氏名)、どのような訴訟を提起したのか(事件名)は少なくともウェブ上で公開されることになってしまいます。
(誰も見ていない)裁判所の掲示板とウェブとでは情報の拡散レベルに天文学的な差があり、本当にウェブサイトに掲載されるならプライバシー侵害が懸念されます。
また、氏名をウェブに掲載されるのは原告も同じです。
そのため、原告側としても公示送達されるくらいなら訴えを取り下げる、という選択をせざるを得なくなることも出てくるのではないでしょうか(公示送達で判決を得ても、所在不明な相手から金銭を回収するのは容易ではありません)。
公示送達を利用するケースは決して少なくないため、どのような制度になるのか大変気になります。