京都弁護士のおいでやす日記
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開業弁護士の夏休み

2024年7月7日  【弁護士のお仕事】 

京都は大変熱い季節になってきました。

裁判所の夏季休廷のために期日が2か月後とかまで入らず、ご依頼者に「裁判官には夏休みがあるんですよ、我々弁護士にはないんですけどね~」と説明する季節でもあります。

いや、お盆などは事務所を閉めるので、夏休みがないというのは不正確かもしれない。

しかし、開業弁護士は休んでいる間は誰かから給料をもらえるわけではなく、ただただ休んだ分だけ無収入になります。

そして休み中も案件は動き続けているので、休みの前後はとんでもないことになります。

だから副作用なしに羽を伸ばせるような夏休みは、やっぱり開業弁護士にはないですね。

その費用なに?

2024年6月16日  【弁護士のお仕事】 

他の事務所の料金表を見てみると、よく分からない費用を取っている事務所が結構あります。

例えば「事務手数料」。

スタッフが行う事務作業の対価ということなんでしょうか。

私はそういう費用は着手金に含まれているものだとばかり思ってきました。

着手金の金額は抑えたように見せつつ、それとは別に一般の事務所が取らない事務手数料をちゃっかり何万円も取るのはいかがなものかと思います。

まぁそういう事務所は着手金自体の金額ももともと高いのですが。

離婚なんかも、項目ごとに弁護士費用が決められており、普通に争点になりそうな項目を足し合わせただけでビックリな金額になってしまう料金表も目にします。

いや、価格設定は自由ですし、仕事のクオリティが高ければその対価は高くてしかるべきだと私も思います。

しかし、例えば年金分割をしただけで報酬2ケタ万円を取ったりするのはどうなのか。

たいていのケースでは、年金分割について弁護士が行う業務量はしれています。

依頼者が業務内容を知らないのをいいことに、仕事のクオリティとは無関係に取れるだけ取っているように感じます。

何が言いたいかというと、弁護士費用はしっかり調べた方がいいし、弁護士費用が高い事務所ほど仕事のクオリティが高いとは限らない、ということです。

相続放棄増加の原因は?

2024年6月2日  【弁護士のお仕事】, 【相続のお話】 

相続放棄の件数が右肩上がりだそうです。

『家庭の法と裁判2023/4月号』の「家庭裁判所事件の概況⑴」によると、相続放棄の新受件数は、平成27年189,296、平成29年205,909、令和元年225,416、令和3年251,993とのこと。

確かにこれは右肩上がりです。

いろいろな記事でもこの理由の分析がいろいろとされています。

過疎化が進み、地元を離れた子が実家の相続を放棄するケースが増えている、といった解説も目にしました。

そういったケースも少なくないようには思います。

しかし、実家の不動産はいらなくても、預貯金など金融資産も相応に残されていれば、相続放棄はしない人が多いのではないでしょうか。

結局のところ、相続放棄が増えているのは遺産が多くないケースが増えているからではないか、と密かに思っています。

この時期恒例

2024年5月18日  【京都の日常】 

日がとても長くなりました。

今年の夏至は6/21らしいので、まだまだ長くなります。

しかし、まだ明るいからと油断しているともう17時や18時だったりします(毎年言っている)。

明るさに騙されずに時計をよく見ておかなければ、仕事がはかどらないまま夜になっています。

日照時間が長いのはメンタル的にうれしいのですが、要注意です。

貼付必須

2024年5月3日  【弁護士のお仕事】 

スマホをアスファルトに落としてしまいました。

明らかに画面が割れた音がして、案の定画面には無数のヒビ。

テンションダダ下がりのまま、修理代金と最新機種への買替代金を銭勘定していたところ。

よく見ると無数のヒビが入ったのは保護フィルムで、スマホ画面は完全無傷でした。

保護フィルムの存在すら忘れていましたが、その存在は偉大でした。

ヒビが後光にすら見える破損保護フィルムに感謝の念と共に別れを告げて、直ちに新しい保護フィルムを購入したのは言うまでもありません。

登記情報がひっそり値下げ

2024年4月21日  【弁護士のお仕事】 

どうでもよい話かもしれませんが。

登記情報提供サービスで登記情報を取得する料金が、2024年4月1日から332円→331円に1円値下げされました。

登記情報は何年かに一度、1~2円ずつ値下げされています。

金額を覚えた頃に改定してくるのは破産の官報公告費と同じですね。

値下げの理由は知りませんが、何でも値上がりする時代の中では稀有な存在と言えるでしょう。

ただ、個人的には微々たる値下げは不要なので、土日祝の利用時間(8:30~18:00)を延ばしてほしいところです。

所有不動産記録証明制度

2024年4月6日  【相続のお話】 

今までありそうでなかった制度が始まります。

その名も、所有不動産記録証明制度です。

これは、自身が所有する不動産の登記内容を証明した書類の交付を、法務局に請求できるという制度です。

要は、自身名義の不動産の一覧を確認できるようになるということです。

自身名義のものだけでなく、自身が相続人になっている故人名義の不動産についても利用できます。

つまり、この制度を利用すれば、相続手続をする際も故人名義の不動産を全て把握することができるようになります。


1つの土地のように見えても登記上は複数に分かれていることはよくあります。

そのため、これまでは相続手続を行う際には、必ず名寄帳を自治体から取得して故人名義の不動産の一覧を確認してきました。

もっとも、名寄帳には当該自治体内の不動産しか記載されないため、他自治体の不動産までは調べられません。

また、非課税の不動産や共有不動産などは名寄帳に記載されない(!)こともあるため、念のために地図を取得して、漏れている不動産が周辺にないか確認しています。

所有不動産記録証明制度ができれば、このような苦労からはおさらばできるかも。


と言いたいところですが、この制度にも欠点があるようです。

この制度では登記上の氏名・住所を基に、該当する不動産が検索されます。

そのため、住所が変わったのに住所変更登記をしていない時は、おそらく検索から漏れてしまいます。

残念ながら、世の中は住所変更登記がされていない不動産だらけです。

過去の住所を全てリストアップして、それぞれについて対象不動産を検索できるようになれば何とかなるかも、と思いたいところですが、令和元年までは住民票除票や戸籍の附票の除票の保管期間は5年でした(現在は150年)。

過去の住所についての証明書を入手・提出できなければ、やっぱり検索できる対象は限られてしまうかもしれません。

便利になるのは間違いないものの、不動産調査の苦労はまだまだなくなることはなさそうです。

(本記事は2024/4/6時点の情報に基づいています。)

本籍地外で離婚届を提出するときも戸籍謄本は不要に

2024年3月22日  【離婚と家庭のお話】 

戸籍法の改正によって、令和6年3月1日から本籍地外の役所でも戸籍謄本を取得できるようになりました。

それにあわせて、本籍地外で離婚届を提出するときも、戸籍謄本の提出が不要になりました。

これまでも離婚届は本籍地に限らず、全国どの役所に提出しても受理してもらえました。

もっとも、本籍地外で提出するときには戸籍謄本も提出しなければならなかったのです。

そのため、本籍地が遠方にある方は戸籍謄本を取り寄せる必要があり、調停離婚など離婚届の提出期限(10日間)があるときには、スケジュールを逆算してあらかじめ戸籍謄本を取り寄せておくこともありました。

しかし、これからは本籍地外で離婚届を提出するときに戸籍謄本の提出は不要になります。

地味な変更点ですが、省ける手間は結構大きいです。

ちなみに、本籍地外で離婚届を提出した場合、戸籍に離婚の事実が反映されるまで日数がかかります(感覚的には2週間以上)。

このようなタイムラグが生じることは、現在確認できる情報によれば、どうも今後も変わらないようです。

全国どこからでも戸籍を揃えられる

2024年3月10日  【気になる記事】 

戸籍法の改正によって、令和6年3月1日から本籍地外の役所でも戸籍謄本を取得できるようになりました。

つまり、全国どの役所からでも、自分の戸籍謄本を取得できるようになったということです。

これまでは本籍地がある役所でしか戸籍謄本を取得できなかったので、この改正によって非常に便利になります。

本人の戸籍謄本だけでなく、直系尊属(親や祖父母)や子、孫の戸籍謄本も全国どの役所からでも取得できます。

つまり、相続手続に必要な戸籍も、たいてい全国どこからでも揃えることができるということです。

ただし、いくつか注意点があります。

まず、兄弟姉妹の戸籍類はこの制度の対象外なので、自身が兄弟姉妹の相続人になったときなどはこれまでどおり本籍地がある役所で戸籍類を取得しなければなりません。

また、郵送やコンビニ端末での取得もこの制度の対象外であり、役所窓口に行く必要があります。

このような注意点もあるものの、これまでよりも格段に戸籍を取得しやすくなったのは間違いありません。

相続手続に必要な戸籍を自分で揃えやすくなったため、紛争性がない相続手続だけを弁護士等が受任することも今後は減っていくことでしょう。

ちなみに、(非常に残念ながら)弁護士などが職務上請求によって戸籍類を取得する場合はこの制度の対象外で、これまでどおり全国の役所から郵送で戸籍を集めなければなりません。

これからは、ある程度の戸籍は依頼者ご自身で役所で取得していただく方が、かえって早いかもしれません。

すでに離婚した人も共同親権に変更できるかも

2024年2月24日  【気になる記事】 

離婚後の共同親権が本当に導入されそうです。

このまま法改正が行われると、早ければ令和8年までに共同親権が導入されることになるようです。

離婚弁護士からすると、これまでの土台がひっくり返るレベルの制度変更です。

そして、この法改正の影響はこれから離婚する人だけでなく、すでに離婚済みの人にも及びそうです。

法改正案によると、改正法施行「前」に成立した離婚についても、家裁への親権者変更申立てによって共同親権に変更できることとされています。

つまり、過去に単独親権で離婚した人はみな、(子どもがまだ未成年なら)共同親権への親権者変更申立てができるということになります。

法改正後当面の間は、きっと共同親権を求める親権者変更申立てが数多く行われることでしょう。

そうなると気になるのは、家庭裁判所がどういった判断基準で共同親権への変更を認めるのかです。

現在も、単独親権から単独親権への親権者変更申立ては行えることは行えます(例:母から父への親権者変更)。

しかし、よほどのことがない限り親権者変更が認められることはありませんでした。

それに対して、共同親権への変更は、おそらくそれよりは広く認められるようになると思います。

離婚時点で共同親権制度があれば共同親権が望ましかったが、制度がなかったからどちらかの単独親権にするしかなかった、というケースも少なくないためです。

弁護士としては、この共同親権への親権者変更にもアンテナを張っていきたいと思います。

家裁のマンパワーで親権者変更が急増して対応できるのか、という問題はまた別の話です。

自己紹介

  • 弁護士・税理士 河本晃輔
  • 京都弁護士会所属
  • 洛彩総合法律事務所(京都市右京区西院平町7クラエンタービル2階)
  • 京都で生まれ育つ。14年にわたる東京・北海道暮らしを経て京都に復帰。現在京都人のリハビリ中。
  • 趣味:旅行、アジア料理、パクチー、サイクリング、野球観戦、旅館探しなど
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