京都弁護士のおいでやす日記
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所有不動産記録証明制度

2024年4月6日  【相続のお話】 

今までありそうでなかった制度が始まります。

その名も、所有不動産記録証明制度です。

これは、自身が所有する不動産の登記内容を証明した書類の交付を、法務局に請求できるという制度です。

要は、自身名義の不動産の一覧を確認できるようになるということです。

自身名義のものだけでなく、自身が相続人になっている故人名義の不動産についても利用できます。

つまり、この制度を利用すれば、相続手続をする際も故人名義の不動産を全て把握することができるようになります。


1つの土地のように見えても登記上は複数に分かれていることはよくあります。

そのため、これまでは相続手続を行う際には、必ず名寄帳を自治体から取得して故人名義の不動産の一覧を確認してきました。

もっとも、名寄帳には当該自治体内の不動産しか記載されないため、他自治体の不動産までは調べられません。

また、非課税の不動産や共有不動産などは名寄帳に記載されない(!)こともあるため、念のために地図を取得して、漏れている不動産が周辺にないか確認しています。

所有不動産記録証明制度ができれば、このような苦労からはおさらばできるかも。


と言いたいところですが、この制度にも欠点があるようです。

この制度では登記上の氏名・住所を基に、該当する不動産が検索されます。

そのため、住所が変わったのに住所変更登記をしていない時は、おそらく検索から漏れてしまいます。

残念ながら、世の中は住所変更登記がされていない不動産だらけです。

過去の住所を全てリストアップして、それぞれについて対象不動産を検索できるようになれば何とかなるかも、と思いたいところですが、令和元年までは住民票除票や戸籍の附票の除票の保管期間は5年でした(現在は150年)。

過去の住所についての証明書を入手・提出できなければ、やっぱり検索できる対象は限られてしまうかもしれません。

便利になるのは間違いないものの、不動産調査の苦労はまだまだなくなることはなさそうです。

(本記事は2024/4/6時点の情報に基づいています。)

本籍地外で離婚届を提出するときも戸籍謄本は不要に

2024年3月22日  【離婚と家庭のお話】 

戸籍法の改正によって、令和6年3月1日から本籍地外の役所でも戸籍謄本を取得できるようになりました。

それにあわせて、本籍地外で離婚届を提出するときも、戸籍謄本の提出が不要になりました。

これまでも離婚届は本籍地に限らず、全国どの役所に提出しても受理してもらえました。

もっとも、本籍地外で提出するときには戸籍謄本も提出しなければならなかったのです。

そのため、本籍地が遠方にある方は戸籍謄本を取り寄せる必要があり、調停離婚など離婚届の提出期限(10日間)があるときには、スケジュールを逆算してあらかじめ戸籍謄本を取り寄せておくこともありました。

しかし、これからは本籍地外で離婚届を提出するときに戸籍謄本の提出は不要になります。

地味な変更点ですが、省ける手間は結構大きいです。

ちなみに、本籍地外で離婚届を提出した場合、戸籍に離婚の事実が反映されるまで日数がかかります(感覚的には2週間以上)。

このようなタイムラグが生じることは、現在確認できる情報によれば、どうも今後も変わらないようです。

全国どこからでも戸籍を揃えられる

2024年3月10日  【気になる記事】 

戸籍法の改正によって、令和6年3月1日から本籍地外の役所でも戸籍謄本を取得できるようになりました。

つまり、全国どの役所からでも、自分の戸籍謄本を取得できるようになったということです。

これまでは本籍地がある役所でしか戸籍謄本を取得できなかったので、この改正によって非常に便利になります。

本人の戸籍謄本だけでなく、直系尊属(親や祖父母)や子、孫の戸籍謄本も全国どの役所からでも取得できます。

つまり、相続手続に必要な戸籍も、たいてい全国どこからでも揃えることができるということです。

ただし、いくつか注意点があります。

まず、兄弟姉妹の戸籍類はこの制度の対象外なので、自身が兄弟姉妹の相続人になったときなどはこれまでどおり本籍地がある役所で戸籍類を取得しなければなりません。

また、郵送やコンビニ端末での取得もこの制度の対象外であり、役所窓口に行く必要があります。

このような注意点もあるものの、これまでよりも格段に戸籍を取得しやすくなったのは間違いありません。

相続手続に必要な戸籍を自分で揃えやすくなったため、紛争性がない相続手続だけを弁護士等が受任することも今後は減っていくことでしょう。

ちなみに、(非常に残念ながら)弁護士などが職務上請求によって戸籍類を取得する場合はこの制度の対象外で、これまでどおり全国の役所から郵送で戸籍を集めなければなりません。

これからは、ある程度の戸籍は依頼者ご自身で役所で取得していただく方が、かえって早いかもしれません。

すでに離婚した人も共同親権に変更できるかも

2024年2月24日  【気になる記事】 

離婚後の共同親権が本当に導入されそうです。

このまま法改正が行われると、早ければ令和8年までに共同親権が導入されることになるようです。

離婚弁護士からすると、これまでの土台がひっくり返るレベルの制度変更です。

そして、この法改正の影響はこれから離婚する人だけでなく、すでに離婚済みの人にも及びそうです。

法改正案によると、改正法施行「前」に成立した離婚についても、家裁への親権者変更申立てによって共同親権に変更できることとされています。

つまり、過去に単独親権で離婚した人はみな、(子どもがまだ未成年なら)共同親権への親権者変更申立てができるということになります。

法改正後当面の間は、きっと共同親権を求める親権者変更申立てが数多く行われることでしょう。

そうなると気になるのは、家庭裁判所がどういった判断基準で共同親権への変更を認めるのかです。

現在も、単独親権から単独親権への親権者変更申立ては行えることは行えます(例:母から父への親権者変更)。

しかし、よほどのことがない限り親権者変更が認められることはありませんでした。

それに対して、共同親権への変更は、おそらくそれよりは広く認められるようになると思います。

離婚時点で共同親権制度があれば共同親権が望ましかったが、制度がなかったからどちらかの単独親権にするしかなかった、というケースも少なくないためです。

弁護士としては、この共同親権への親権者変更にもアンテナを張っていきたいと思います。

家裁のマンパワーで親権者変更が急増して対応できるのか、という問題はまた別の話です。

レターパックライトは当日配達されるかも

2024年2月11日  【弁護士のお仕事】 

郵便を多用する世間の方々は、普通郵便は日数がかかるし土日配達もされない、というニューノーマルにもすっかり慣れたころでしょう。

当事務所でも、自ずとレターパックライトの使用頻度が激増しました。

レターパックのまとめ買い常備もまた、郵便界のニューノーマルに違いありません。

そんなレターパックヘビーユーザーの皆さんへの耳より情報です。

京都市内で朝一番にポスト投函したレターパックは、あて先も京都市内であればその日の夕方には配達されることが結構あります。

このご時世なのに当日配達してもらえるのは結構驚きです。

まだ郵便料金はサービス内容に比して安いと思っているので、個人的には370円なら翌日配達でも十分満足ですが…。

まあ当日配達してくれるというのなら、ありがたく活用させてもらいます。

離婚は実は減っている

2024年1月28日  【離婚と家庭のお話】 

「日本は離婚が当たり前の世の中になった」といった話を聞くことがあります。

そう聞くと離婚件数が年々増えているように感じます。

しかし、実は統計上は、全く真逆です。

離婚件数のピークは平成14年で約29万件でした。

しかし、その後は年々減少し、令和4年は約18万件にまで減っています。

結婚件数や人口構造も変わっているため、一概に「社会で離婚が減った」と言い切れるわけではありません。

もっとも、離婚件数が年々減っているというのは、おそらく多くの方にとってイメージと全く真逆なのではないでしょうか。

ちなみに、離婚調停の件数も年々減少傾向にあるようです。

ゆとりスケジュール

2024年1月14日  【京都の日常】 

当事務所では1/9から営業を再開しています。

今年は土日の兼ね合いで年末年始休業を長めにお取りすることになりました。

しかし、今年末の曜日のめぐりあわせを見ると、12/28、12/29と1/4、1/5が土日になっています。

12/30から休業するとすれば、お休みは12/28~1/5の9日間になります。

世の社会人のみなさんにとっては2年連続のゆとりスケジュールになりそうですね。

(※当事務所では休業中も仕事はしています。)

郵便110円時代へ

2023年12月30日  【気になる記事】 

今年最後のブログは、もちろんこの話題。

2024年秋以降、25グラム以下の定型封書の郵便料金が84円から110円に値上げされるなど、郵便料金全般が値上げされるようです。

82円が84円になったのも割と最近の話のように思い出されます(2019年)。

手元の書籍で訴訟関係の手続に必要な郵券を調べると、まだ80円時代のままの記載すらあったりします(改訂版を頼みます)。

あれよあれよと値上げされてきましたが、今回はケンケン飛びからいきなり100m走を始めたかのような値上げ幅です。

当事務所ではご依頼者とのやり取りはメールなどが主ですが、それでも郵便はまだまだ大量に使います。

そのため、郵便サービスの行く末は気になります。

個人的には、北海道や沖縄にもたった110円で郵便を送れるのも、まだまだ十分奇跡的だと思っています。

値上げは仕方がないことと受け入れているので、事務所前の郵便ポストだけは末永く残していただきたいと願うばかりです。

刑事事件に被告はいないぞ

2023年12月17日  【弁護士のお仕事】 

弁護士が気になるマスコミ用語第1位と言えば、刑事事件における「被告」でしょう。

刑事訴訟法上の正確な呼称は「被告人」であって、「被告」ではありません。

刑事事件を扱わなくなってしばらく経つ身ですら、「被告が起訴内容を認める」、「被告に有罪判決」といったニュースや記事を見るたびにいまだにムズムズします。

ただ弁護士がムズムズするだけならよいのですが。

マスコミのこの不正確な呼称のせいで、「被告人」だけでなく「被告」というワードにまで悪いイメージを持つ人が少なくないようです。

民事訴訟の被告側の人が、「相手の勝手な言い分で「被告」にされて(怒)」と怒っていることがときどきあります。

その都度、「被告」というのは「裁判を起こされた側の人」くらいの意味なんですよー(怒るのはそこじゃないですよ)、と弁護士からご説明することになります。

何を言いたいかというと、せっかく法がご丁寧に刑事と民事とで「被告人」、「被告」と用語を使い分けているんだから、マスコミも正確に報道しようよということなんですね。

自己紹介

  • 弁護士・税理士 河本晃輔
  • 京都弁護士会所属
  • 洛彩総合法律事務所(京都市右京区西院平町7クラエンタービル2階)
  • 京都で生まれ育つ。14年にわたる東京・北海道暮らしを経て京都に復帰。現在京都人のリハビリ中。
  • 趣味:旅行、アジア料理、パクチー、サイクリング、野球観戦、旅館探しなど
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