今までありそうでなかった制度が始まります。
その名も、所有不動産記録証明制度です。
これは、自身が所有する不動産の登記内容を証明した書類の交付を、法務局に請求できるという制度です。
要は、自身名義の不動産の一覧を確認できるようになるということです。
自身名義のものだけでなく、自身が相続人になっている故人名義の不動産についても利用できます。
つまり、この制度を利用すれば、相続手続をする際も故人名義の不動産を全て把握することができるようになります。
1つの土地のように見えても登記上は複数に分かれていることはよくあります。
そのため、これまでは相続手続を行う際には、必ず名寄帳を自治体から取得して故人名義の不動産の一覧を確認してきました。
もっとも、名寄帳には当該自治体内の不動産しか記載されないため、他自治体の不動産までは調べられません。
また、非課税の不動産や共有不動産などは名寄帳に記載されない(!)こともあるため、念のために地図を取得して、漏れている不動産が周辺にないか確認しています。
所有不動産記録証明制度ができれば、このような苦労からはおさらばできるかも。
と言いたいところですが、この制度にも欠点があるようです。
この制度では登記上の氏名・住所を基に、該当する不動産が検索されます。
そのため、住所が変わったのに住所変更登記をしていない時は、おそらく検索から漏れてしまいます。
残念ながら、世の中は住所変更登記がされていない不動産だらけです。
過去の住所を全てリストアップして、それぞれについて対象不動産を検索できるようになれば何とかなるかも、と思いたいところですが、令和元年までは住民票除票や戸籍の附票の除票の保管期間は5年でした(現在は150年)。
過去の住所についての証明書を入手・提出できなければ、やっぱり検索できる対象は限られてしまうかもしれません。
便利になるのは間違いないものの、不動産調査の苦労はまだまだなくなることはなさそうです。
(本記事は2024/4/6時点の情報に基づいています。)