
『実務家が陥りやすい離婚事件の落とし穴』(東京弁護士会家族法部)を読了しました。
同じシリーズの『実務家が陥りやすい相続・遺言の落とし穴』と比べると、比較的浅めの落とし穴が多かったように思います。
しかし、雪解け後の北海道の道路のように、踏めばタイヤがバーストするくらいの穴も結構ありました。
北海道の道路では、冬の初めに積もった雪が一旦解け、アスファルトに水が浸透します。
その状態で水が凍ると水分が膨張するため、周りのアスファルトが圧縮されます。
そして、そのまま春になって氷が解け水分が蒸発すると、アスファルト内に空洞だけが残り、そこに車の重みなどが加わると簡単に崩壊して道が穴だらけになってしまうのです。
実物を見ないとなかなかイメージしづらいのですが、大モグラが耕したのかというくらい、雪解け後は本当に道が大穴だらけになっています。
(3年前の雪解け期に留萌に赴任した時、ボロボロの道を見て「ここまでこの市の財政は厳しいのか…」と思った、という笑えない話は伏せておきます。)
穴の話になってしまいました。
復習のため、今回の『(略)落とし穴』で意識しておきたい知識を1つ。
離婚時に財産分与によって不動産が譲渡されることがあります。
この際、原則として贈与税は課されないのですが、例外的にその不動産の価値が清算的財産分与としては過大であったときは、過大である部分について贈与税・不動産取得税が課されることがあります。
この点も、分かっていても見落としがちな落とし穴です。
しかし、それだけでなく不動産の価格が取得時よりも増加していたときには、譲渡側に対して譲渡所得税が課されることがあります(財産分与として過大か否かにかかわらず)。
この点に関しては、居住用財産の3000万円の特別控除を利用できることがあるほか、居住用財産の所有期間がその年の1月1日時点で5年を超えていれば長期譲渡所得税の適用を、10年を超えていればさらに税率が低い10年超所有軽減税率の適用を受けられることがあります。
離婚する時に「自宅に住み始めてから何年経ったか」を考えることはなかなかありませんが、譲渡所得税が課税される場面では5年・10年という区切りを意識しなければならないというわけです。
ちなみに、協議離婚を行ったが後に想定外の譲渡所得税が課税されたケースで、財産分与の意思表示について錯誤無効が認められた裁判例(東京高判平成3年3月14日判時1387・6)もあるそうですが、あまり気休めにはなりません。
穴を見落としても大モグラのせいにはできませんので、税務にはつくづく気を付けようと思う次第です。